ペーパー船長、大潮の東京湾クルージングへ|補助インストラクタークルーと不安を乗り越える

ペーパー船長、大潮の東京湾クルージングへ|補助インストラクタークルーと不安を乗り越える
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「船舶免許、再交付するんだ。」

そう得意げに語る一方で、心の中ではひっそりと不安な気持ちもありました。

最後に船を操縦したのはもう20年以上も前のこと。

免許の更新もせずに完全放置でしたが、老後の遊びの選択肢を増やすために意を決して船長復帰。

ただし再交付を受けても、その実態は正真正銘の「ペーパードライバー」です。

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「今度、東京湾クルージングに行きませんか?」とゴルフ仲間のオジサン達に声をかけますが、物珍しさに前向きな返事をしてもらうものの、

「初心者マークは不安だから、少し慣れたころにするわ」とつれない返事w

モチロン不安げな視線も分かりますよ。

車と違って、海や川には明確な車線があるわけではありません。

東京湾には浦賀水道航路や中ノ瀬航路といった「海の道」がありますが、陸上の交通ルールとは少し勝手が違います。

法規制やルールも当然ありますが、航路外では基本的にフリーです。

そして何より恐ろしいのが「座礁」。

特に浅瀬で有名な旧江戸川の河口付近にある三枚洲(さんまいす)周辺で船底を川底に乗り上げ身動きが取れなくなった事故をよく耳にします。

先日には湖で個人の船が転覆したそうな・・。

風や波、速度や操舵の合わせ技でひっくり返ることは湖でもあるんですね。

2回目の初航海は「大潮」という最悪なコンディション

久しぶりの操船の予定を入れたのは、妻と休みが合った梅雨時期の平日でした。

レインボーブリッジと船首

安全航行のため、船長として事前に潮周りも確認するわけですが、運悪くその日は「大潮」の日だったのです。

大潮とは1日の干潮と満潮の差が最大になる日で、干潮時に最も潮が引き、川も含めて水深が浅くなる、いわば「最もキケンな日」。

こんな日にわざわざ海に出て座礁でもしたら、妻のクルージングへの興味や意欲まで座礁させてしまいかねません。

(ヤマハ・シースタイルの会員になるチャンスもあるかもしれないのに)

それは絶対に避けたい。

私はプレジャーボートをレンタルするマリーナに相談し、補助クルーとしてインストラクターの同乗をお願いすることにしました。

問い合わせると、「クルー同乗ならルートを選びますから、大潮でも大丈夫でしょう。危険個所を説明しながら出せますよ。」と心強い返答が。

迷うことなく半日コースを予約し、期待と不安を胸にクルージング当日を迎えました。

結果的にこの判断が大正解でした。

忘れかけていた操船の勘を取り戻す3時間の船旅

当日の朝、マリーナでレンタルボートのスタッフの方にご挨拶。

南の海には台風も発生し、陸で3~4mの風があり、

出港前にインストラクターからブリーフィングを受け、マリーナ周辺の注意点や航行ルートについて丁寧なレクチャーを受けました。

この日の航行予定は3時間。

行きは旧江戸川から東京湾へ出て、帰りは墨田川を上って荒川・中川を経由し、最終的にマリーナに戻るという、行きと帰りで異なる2つのルートを提案してくれました。

「2つ以上のコースを理解しておけば、 潮の状態に合わせて出入りがしやすくなる」というアドバイスでした。

これが今後のソロ航海の大きなヒントになり、具体的なイメージが湧く結果になりました。

そして、いよいよ離岸。

マリーナを離れて川に出ると、すぐに洗礼を受けます。

強めに吹いていた風とゆったりとした川の流れに船が流され、まっすぐ進めません。

昔は遠くの目標物を見ながら直進できたはずなのに…。

やっぱり操船感覚が鈍っていたのです。

河口まで行く途中、両サイドには係留しているプレジャーボートや屋形船がたくさん。

引き波を立てないように、ゆっくりと慎重に進まなければなりません。

最初は意図せずフラフラと蛇行してしまいましたが、エンジンの回転数を2,000回転あたりに抑えて進むと、少しずつ安定してまっすく進めるように。

失いかけていた操船の勘が、少しずつ戻ってくる感覚。

このあたりから「楽し!」という気持ちが出てきました。

妻は左のディズニー、私は右の三枚洲

旧江戸川から東京湾に出るとき、左手には見慣れない角度から見るディズニーリゾートが広がります。

妻は目を見開いて、スマートフォンで写真を撮っていました。

しかし、私の視線は全く別の場所へ。

ここで右手に見えるのは、あの最大キケン地帯の「三枚洲」です。

インストラクターから危険なエリアを避けるためのルートや、浮標(ブイ)の見方を教わりながら、20年前の復習に必死。

妻が写真に夢中になっている間も、私の頭の中は「次はインストラクターなしで航海するために…」と前と後ろの景色を目に焼き付ける作業でいっぱいいっぱい。

後で「写真も撮ればよかった」と後悔しましたが、このドキドキ感も今の時期しか味わえない久しぶりの操船ならではの醍醐味でしょうか。

沖に出ると波が立っており、スピードを上げると船首がバッタンバッタンと跳ねて、スムーズに進めません。

「ヤバッ」となりながら、、

波に合わせて航行する速度を調整する、という基本がスッポリと頭から抜け落ちていました。

これもインストラクターの助言で徐々にコツを掴んでいきます。

ゲートブリッジをくぐり、レインボーブリッジを眺め、豊洲市場を横目に墨田川へ。

ここらが今回のクルーズのハイライトでした。

浅草では、陸上からとは全く違うアングルで、アサヒビールの「金のオブジェ」やスカイツリーを見上げる。

隅田川からのスカイツリー

普段歩いて見る街並みが、歩行時の目線よりも低い水面から見るとまるで別世界です。

そこからいくつかの狭い水門をドキドキしながら通り抜け、再びマリーナへ帰港。

3時間の半日コースでしたが、東京湾の開放感と、東京の街並みを水上から眺めるリバークルーズの魅力を両方味わうことができました。

海もいいけど、リバークルーズも最高!

結果的に、インストラクターのサポートもあって風と大潮の東京湾クルーズを無事に満喫できました。

川の両サイドは干上がって川底が見えた場所も複数あり、キケン個所のイメージは強くなって、大潮の日で良かった面もありました。

私自身、実は海に出るよりも、都会の風景を間近に感じるリバークルーズの方が強く印象に残りました。

そのうち、日本橋や神田川を通るルートにも挑戦してみたいと思っています。

その時の様子は、また別の記事でじっくりとご紹介したいです。

私のようにブランクがある方や、クルージングが初めての方には、インストラクターのサポートが受けられるレンタルサービスがおすすめです。

車のように必要に迫られて乗る乗り物ではないですし。

ちょっと違ったオトナの遊びの様子を今後も公開できたら、と思っています。

プレジャーボートの引き波

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kyosuke

kyosuke

Swing&Savor54(スイセイ ごーよん)の編集人にして埼玉在住のアラフィフ サラリーマン。老後の「行くとこ・やること」を考えながら、初老のゴルフ体験を発信していきます。練習環境をインドアゴルフに変えてから、シーズン平均スコアは100→87に激変中。なぜ?を備忘録として残しています。

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